私は長年、学習塾の塾長として、多くの受験生を見てきました。「花それぞれ、人それぞれ、それぞれに咲く」と言う言葉がありますが、受験に失敗したばかりの子どもたちに、伝える言葉はなかなか見つかりません。
以前、受験に失敗した女の子のご両親が、5月の中旬、突然、自宅来られました。
お父様が「受験に失敗した私の娘のことを、どう思っておられるかわかりませんが、私は娘が受験に失敗したことを、たいへん喜んでいます。」と言われ、一瞬「えっ」と思いました。
「私の娘は、今まで人から後ろ指を指されたことは、一度もありません。勉強も体育も美術も一生懸命、頑張ってきました。高校受験に当たっても、担任の先生から「お前なら大丈夫!」と言われ、自信を持って受験しましたが、残念ながら、不合格でした。
発表から3日間、ほとんど部屋から出てこないで、泣いてばかりいました。しかし、泣いて、苦しんで。今回のお陰で、娘はきっと、悲しみのわかる人間になれたのだと思います。」と言われたときには、涙が出てきました。
それから、二日後、お父さんから、電話が掛ってきました。電話口で泣いておられましたので「どうされましたか」と尋ねると「私は、今日くらい、こんな素晴らしい娘を持ったことを、幸せに思ったことはありません。偶然、娘の部屋に入ったら、壁に大きな紙が貼ってあって、墨で「高校に入ったら、頑張るぞ!」って書いてありました。それを見た瞬間から、涙が止まらなくて、うれしくて、電話させて頂きましたと、言われました。
受験に失敗した塾生や保護者の皆さまから多くのことを学びました。