私が所属している文部科学省所管の社会教育団体である財団法人「SYD修養団」では、毎年、夏休みに、沖縄の渡嘉敷島で、障害児を含めたサマーキャンプを実施しています。
5人の健常児が1人の障害のある子どもと交流するキャンプですが、そこへ17歳の洋子ちゃんという、両手両足の動かない女の子が、お母さんが押す、車椅子で参加しました。
沖縄は、星空がきれいなので、七夕祭りを行うことになり、皆で「願い事」を書いた短冊を笹に吊るすことになりました。
車椅子にすわっていた洋子ちゃんにも「何か書いて」と、お願いすると「別にないな」という返事でした。
「そんなこと言わないで何か書いてよ。皆、ドラえもんの竹コプターや、イルカに乗って沖縄にこれたらいいのにとか、できもしないことを書くのだから、洋子ちゃんも何か書いてよ」とお願いしましたが「ない」という返事でした。そばにいたお母さんが「洋子も何かあるでしょうが」ときつく言うと「ないものはない」と怒ってしまいました。
しばらく、そのままにしておいたのですが、夕方になって、子どもたちが短冊を吊るすようになったので「洋子ちゃんも、何か書いたら」と言うと「じゃあ、1つだけ書いてくれる?」といって、書いた言葉が「もし、神様がいらっしゃるならお母さんより1日だけ早く死なせて下さい」という言葉でした。
17歳で両手両足の動かない女の子が、何を思ったか、というとお母さんが先に死んだら、誰がおしめを替えてくれるのか。誰がおふろに入れてくれるか。そんなことが気掛かりだったのだと思います。
炊事のお世話をされていたお母さんが「洋子が何か書いたようですね」と聞かれたので「短冊が掛けてありますよ」と答えました。見に行かれ、じっと、短冊を見つめたあと、お母さんが「わたしも一言、書いていいですか」と言われ、書かれた言葉が「もし、神様がいらっしゃるなら、贅沢かもしれませんが、娘より一日だけ長生きさせて下さい」という言葉でした。
キャンプが終わり、帰り際に、洋子ちゃんが「私は神様に選ばれたのよね。私だったら、神様は耐えられると思って、こんな試練をくれたのよね。私って、選ばれたのよね」といって笑顔で帰っていきました。
どうしようもない縁を生かしきる。そして、今を喜ぶという姿に感動しました。
障害のある子どもと親が、安心して暮らせる福祉の充実した社会作り。
そして、高齢化社会を迎える中で老人介護が、大きな社会問題となっています。「親子の縁」「家族の絆」の素晴らしさを、県の事業として、啓蒙していくことの大切さを強く感じます。