私は25年間、学習塾や自然体験活動を通して、子どもたちの教育に携わってきました。子どもが中学生や高校生になると、親子関係で悩み、深刻な顔をして、相談に来られる保護者の方がいます。最近特に、不登校やいじめの問題、子どもの交友関係で悩んでいる保護者が増えています。
お母さんとの関係がうまくいかなくて悩んでいる中学2年生の女の子の詩に、こんなのがあります。
「明日の朝ごはんは、アサリの味噌汁。母が今朝から泥を吐かせている。きたないものを吐き出すアサリをみると、今の自分を情けなく思う。ねえ母さん、私も一晩水につけると、きれいな心になれるかな」
中学2年生の女の子が、試験勉強をしていたそうです。皆さんも経験がおありかもしれませんが、お母さんが夜食を持ってやってくる。普段、調子のいいときは「お母さん、ありがとう」と笑顔で言えるのですが、その日に限って「そんなものはいらない」って、つい言ってしまったそうです。それでもお母さんが「後から食べたら」と言って、お盆を置こうとすると、「目障りだから下げて」と思いもかけないことを言ってしまう。
寂しそうにお盆を下げていくお母さんの後姿を見ながら「かわいげのない娘だ」と思うのだけれど「ごめんなさい」と言う勇気がない。
翌朝、台所に行くと、お母さんが朝ごはん代わりに、自分が食べるはずだった夜食を食べていたそうです。「申し訳ないなあ」と思ってもやはり「ごめんなさい」という勇気がない。
台所の片隅にいくと、バケツが置いてあって、中にアサリが入れてあって、砂出しをしていたそうです。汚いものを吐き出すアサリを見て、「私も一晩くらい水につければ、きれいな心になれるかな」と思ったようです。
素直になりたくても、なかなか素直になれない。それが中学高校生くらいの世代だと思います。ちょっとお互いが素直になれれば、親子関係もうまく行くのにと思います。
核家族化、情報化社会の中で、人間関係が希薄になり、親子や家族、集団の中でのコミュニケーションがうまくできず、苦しんでいる子どもたちが増えています。