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子どもをダメにしない住まい方 アーカイブ

2007年09月20日

『子どもをダメにしない住まい方』 建築家 岡村精二

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日本時事評論からの【インタビュー】(山口敏昭 記者)
今に通じる『子供をダメにしない住まい方』を指南

今から十四年前、建築家の立場から、個室文化の導入が家族の絆を崩壊させると警鐘を鳴らした本が『子供をダメにしない住まい方』。
その著者の岡村精二・森と海の学校理事長に、当時を振り返りながら、親子、家族の関係づくりについて語ってもらった。

『非行少年と間取りに相関』
家の間取りと子供の非行の問題に関心を持たれた経緯を教えて下さい。

私は建築設計事務所の仕事とは別に、昭和五十九年から野外活動(ヨットやキャンプ、登山、耐久徒歩など)を中心とする体験教育をする学習塾を始めました。
レクリエーション指導員や青少年育成アドバイザー、警察署の少年指導員などもしていた関係で、非行や不登校、家庭内暴力といった相談があちこちから来るようになりました。
そうした子供をすぐに塾で受け入れるわけにもいかず、子供たちの家に出入りしているうちに、これはおかしいなと思ったのが家の間取りでした。
私が建築の世界だけをしていたら、家の間取りは合理性や機能性、見た目の外観だけで考えていたと思います。
ところが、非行少年などを見て、家に行けば、そこに間取りで共通した特徴があることに気付いたのです。
時代は高度成長期のまっただ中で、団塊の世代と言われる人達が三十歳後半にさしかかり、ちょうど家を建て始める頃でした。
その間取りというのがすべてワンパターンなわけです。玄関から二階に上がる階段がついて、玄関付近にトイレ、洗面所、浴室を集合させ、一階は六畳か八畳の和室に居間で、二階には夫婦の寝室と子供部屋が二つにトイレ、というのが日本の平均的家庭の間取りだったのです。
つまり、子供が意識的に食堂や居間に降りて来なければ、親と顔を合わせなくてもすむような間取りなのです。

『家庭内暴力の家に行くと』
親子の自然な関わりができにくい間取りになっているということですね。

私が最初に気づいたのが、広島の家庭内暴力の子でした。家に行くと、玄関に入ってすぐ左に彼の部屋がありました。本人は夜になると外に出て遊び回り、夜明け前に帰宅して、昼間は家で寝ているのです。親は、夜に遊び回っているとはつゆ知らず、不登校のため家で寝てるとばかり思っていて、本人の告白を聞いて初めて知るという状況でした。
玄関の傍が自分の部屋なので、夜こっそり外に出てもわからないのです。そこで家の間取りと非行について、宇部市にある『ウベニチ新聞』(現『宇部日報』)の「冬至夏至」欄に書きましたところ、電話がひっきりなしにかかってくるほどの反響があり、一気にまとめたのが『子どもをダメにしない住まい方』でした。
居間、もしくは台所、食堂に家族の動線を集中させる間取りの家を提唱しました。

『親子が交流できる間取りに』
本を出されてからの反響はいかがでしたか。

最初にこの本を出して大手住宅メーカーに送ったんですが、始めは拒絶反応でした。
でも、後に似たような本が出始め、毎日新聞の全国版の全面特集記事になったり、スポーツ紙で取り上げられたりと、延べにして新聞に十数回は出たでしょうか。
テレビも「ズームイン朝」と「おはよう日本」に出ました。そのうち、ミサワホームが「センターリビングの家…家の真ん中に居間を作る」というキャッチフレーズで売り出し、突然、ミサワホームから礼状がきました。
特に子供向けの雑誌社からは、いまだに内容の問い合わせの電話があります。本も通算で三万部以上出たと思います。
その影響なのか、改善とまではいかなくても、居間に階段がある家がかなり増えてきましたね。
居間から直接二階に上がるようにすれば、子供達は必ず居間を通りますから、親子の接触ができるわけです。
そんなことで、一時期は、住宅メーカーにも呼ばれて、これから家を建てる人の為の住まいづくりというテーマで講演もしました。

最近も非行少年とか、家庭内暴力などいろいろ問題がありますね。
思春期の時に親子の接点がないというのは大きな問題です。ましてや、今は携帯電話を持つ時代ですから、ますます親子の絆が歪んでいきます。
だからこそ、家の間取りぐらいは、仕方なくでも良いので、親の顔を見て学校に行く、家に帰った時も親の顔を見て部屋に入る、そういう仕組みが大事だと思います。

『住まい方の工夫次第で』
既に住んでいて、間取りが変えられない場合の工夫がありますか。

まず、玄関はお客様と大人の出入り口として、子供たちは勝手口から出入りさせることです。
それにより、子供たちは親の前を通ります。
子供部屋に親のタンスを一つ入れ、もちろんドアには鍵をつけないし透明ガラスを入れます。
子供たちは最初は嫌がりますが、「あくまでも家はお父さんとお母さんの持ち物で、子供に貸しているのだ」と言えば納得します。
できれば、お父さんの書斎を作るといいですね。それともう一つ大事なのは、子供が神妙になれる部屋を作ることです。
ある意味では、子供を叱る場所です。わが家には仏壇があり、子供を叱る時は仏壇の前と決めていました。
「お父さんは立派でないかもしれないが、少なくともご先祖様に申し訳ないから、ご先祖様に謝りなさい」という型です。
今の親は、テレビを見ながらとか何かしながら叱るようですが、それでは気持ちが伝わりません。


『花のほほえみ 根のいのり』
今の親の子育てについて、どのような感想をお持ちですか。

特に母親が子供に対する自信を失っているのが気になります。
痛切に感じるのは三者面談です。塾を始めた頃は「帰ってお父さんを含めて三人で話し合いをします」と、その場で決断をするお母さんはいませんでした。
それが最近では「すべてを子供に任してありますから、すべてを子供の好きにしてやってください」です。
物分りの良いお母さんのようですが、言っても無駄と感じているのです。
小学校を過ぎて中学校に入った段階で、もう子供が手に負えないということです。
父親の権限もなくなって、親を尊敬するといった世界がありません。
私は最近、「花のほほえみ、根のいのり」という言葉を子供たちに話します。
根っこがしっかりしているから花が咲いているんだよ、つまりご先祖様のお陰で今の自分があるという縦の教育が、あまりにもできてないと思うからです。
二十代さかのぼれば七百万人のご先祖様がいて、三十代さかのぼれは二億人のご先祖様がいるという命の連鎖をきちんと教えることが、ある意味では家の役割でもあると思うんです。
佛様を拝むだけでも違うと思います。核家族で家にお仏壇がなくても、いくら新居の若夫婦の家でも、お爺ちゃんお婆ちゃんの写真ぐらいは置いておいて、「ああ僕にはお爺ちゃんお婆ちゃんがいて…」という命の繋がりを家で教えることです。
できれば仏壇とかがあって、毎朝、手を合わせる習慣づけをする場所が欲しいですね。

『祖父母の役割は大きい』
昔の家は、お仏壇とか、魂があるものを中心に間取りを考えたものですね。

ある人が、古い家を解体している現場に差し掛かって、何かゴタゴタしているので見ていたら、解体業者が「俺はこの家だけは解体したくない」と言っているのです。
なぜなら、お仏壇の中にまだ位牌があり、壁には先祖の写真がズラーッと並んでいるんです。
結局は、お仏壇とか、写真を全部外して、解体工事をしたらしいのですが、解体する前に、そこの家の人は見に来ていないわけです。
遠くに住んでいて、家が崩れそうだから何とかしてくれとの電話一本で、代わりに解体してもらっているわけです。その程度のものです。
だから意外と、ご先祖様の写真とかがきちんと掲げてある家というのは、そんなにありませんね。
爺ちゃん婆ちゃんが死ぬ前にきちんとしておかないといけません。
わが家で好運なのは、うちの娘や息子が、自分を愛してくれた爺ちゃん婆ちゃんが死んでいく姿を見るチャンスがあるということです。
命の大切さを教えるには、爺ちゃん婆ちゃんの同居というのは大事なことです。何よりも順番の大事さがわかります。


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