
単行本「子どもとの愛を深める」(親からのお手紙)
仮の題ですが、「親子の絆」についての本を書くつもりで、全体のストーリーを検討しました。
昨夜はほとんど徹夜です。
「絆」というテーマは、あまりにもありきたりかもしれません。
しかし、人間関係に起因する不登校や自殺者、社会人のうつ病、親子家族間での事件などが急増していることは、「人間は人と人の関わりなくしては生けていけない」という証を示しているのではないでしょうか。
今、社会が、現代人がもっとも欲している心の安らぎは、人と人との絆、親子・家族の絆の回復。
幸せとは、普段の生活の中で、なんとなくうれしいとか、楽しいと感じるとき、心から湧き上がってくる有難いと思う感謝の気持ちを感じるときだと思います。
そして、人間の究極の幸せは、子どもや孫の幸せを見届けることだと思います。
私は平成4年以来、親子・家族の絆を深めるための一つの活動として、ご両親や家族からのお手紙を活用した青少年教育に取り組んできました。
きっかけは、私が23歳のときに挑戦した手作りヨットによる太平洋単独横断の体験がきっかけとなりました。
当時、太平洋横断に反対していた父とは、出航までの8年間ほとんど口をきいたことがありませんでした。出航間際、岸壁で「行ってきます」と握手したときも、父は一言も話しませんでした。
ところが、宇部港の沖で、母が作ってくれた弁当箱を開いた瞬間、大泣きをしました。
「生きて帰れ父」と一言書いた紙切れが入っていました。
一日中、大きな声で泣きました。
たった一言ですが、人間としての生き方、親のあり方のすべてを教えられたような気がしました。
私のキャンプやジュニア洋上スクールの研修テーマは「親が子に生き方を教える」です。その方法として3日目に、ご両親からのお手紙が届けられます。
子どもたちは生活にも慣れ、父母のことを思い出すときでもあります。
手紙の内容については、事前研修でご両親にお願いし、子どもが生まれたときの様子、ご両親や家族、親戚一同が喜んだこと、名前の由来などを書いて頂き、すべて「○○様」宛で、速達で投函して頂いています。
夜9時、子どもたちを集め、暗い中で、私は自分の太平洋横断のときの父母から頂いた手紙の話しをします。
「君たちのお父様、お母様も、きっと心配しているのではないかな。ひょっとすると、台所で向かい合わせに座り、今日はお風呂に入らせてもらったかな、風邪をひいていないかな、などとお話しをしているかもしれません。
今日は、思いもかけず、お父様、お母様からお手紙が来ています。
今から、名前を呼ぶから、呼ばれた人は、前に出てきなさい。」
出掛けに喧嘩をしてきた子どもは、来ていないかもしれないと不安がっていますから、名前を呼ばれた瞬間から、大泣きです。
全員に行き渡ったら、懐中電灯で封筒を照らします。様と書かれています。しかも速達です。
「お父様やお母様がどのような思いで、この手紙を書かれたかわかるか?今から10分間、何度でも読み直しなさい。」
散らばって、懐中電灯の明かりで、手紙を読み始めると、BGMのシルクロードの曲が流れてきます。
思いもしなかった父母からの手紙は子どもたちの心に大きな感動を引き起こし。子どもたちは涙を流しながら、何度も何度も手紙を読み返します。
子どもたちはお手紙を通して、「自分にとって、親とは何なのか」「どのような生き方をしなければならないのか」ということを涙の中で学びます。
親が子に生き方を教えるための最高の舞台が作り出されます。
翌朝、書いた感想文には多くの子どもたちが「この手紙は一生の宝物です。」「これからはお父様お母様を大切にします」と書きます。
私は、父母から頂いた「頑張れ!母」「生きて帰れ!父」という手紙のことを10年近く忘れていました。
しかし、必ず思い出すときがきます。
人生の折り目、節目のとき、お手紙は心を揺さぶります。
手紙を10分間書けば、10分間、相手のことを思っています。
思いを送るという意味では「思いやり」という言葉がもっとも似合うのがお手紙です。
私は、今まで約15年間で、3000名近い小中学生や高校生、また、青年の船等で1300名の青年に、お手紙を使った事業を行いました。
我が家には、彼らが書いた感想文のコピーが保管してあります。たまに、読んでみると涙が出るような文章がたくさんあり、心が洗われるような思いになります。
親が離婚し、子どもに対して申し訳なさを綴った母親からの手紙を読んで、子どもと一緒に泣いたこともありました。
ジュニア洋上スクールから帰って、すぐにお父様が急死し、頂いた手紙が遺書になったこともあります。
ジュニア洋上スクールに孫を行かせることを楽しみにしながら、出発直前に亡くなったおじいちゃんの写真を、食事のたびにテーブルに置いている小学生もいました。
最近の子どもは変わったと言いますが、決してそんなことはありません。しっかり人生を考える機会を与えられていないに過ぎません。
本は、お手紙を読んでいる写真、体験活動の写真を織り交ぜながら、お手紙だけではなく、絆をテーマにした「子育てに役に立つ、ほのぼのとしたエッセー」を一緒に入れて、制作できればと考えています。